【福島県】楢葉の風|合資会社白井酒造店

【福島県】楢葉の風|合資会社白井酒造店

2021/11月/17

〇江戸時代に創業した山廃仕込みがメインブランドの酒蔵

合資会社白井酒造店は、江戸時代中期から操業している造り酒屋です。5代目が兵庫県の灘に修行に行き、当時東北にはなかった日本酒の精白工程の製法を学んで持ち帰り、酒造りに活かしています。また福島県では珍しい「山廃」という方法でお酒を造っています。天然の乳酸菌を使用するこの造り方により、複雑な味わいが楽しめるお酒が出来上がります。この製法を活かした「風が吹く」、「宮川屋 萬代芳(みやがわや ばんだいほう)」などが看板商品です。 

〇震災後に楢葉町の復興を願って製造された「楢葉の風」

2011年の東日本大震災及び原子力発電所の事故により、楢葉町の多くの町民は姉妹都市である会津美里町に避難を余儀なくされました。白井社長は楢葉町の農業が受けた甚大な被害について聞き、楢葉町の基幹産業である農業が一刻も早く復興することを願っていました。その様な折に、楢葉町の復興を目指す中で楢葉の酒づくりプロジェクト委員会が発足し、楢葉町で酒米づくりに挑戦することに共感をし、白井酒造店が酒造りで協力をすることになりました。楢葉町でつくられた酒米「夢の香」を使用して造られているのが、「楢葉の風」です。 

〇楢葉町の農業を応援しながら「楢葉の風」を多くの方にお届けしたい

 白井酒造店では「楢葉の風」を造るにあたり、初めて浜通り(=福島県にある三地方のうち、海沿いの地域)のお米を使用しました。作り手の見えるお米を使って醸造すると決めているそうで、様々なお米の中でも「楢葉の風」に使用している楢葉町で作られた酒米の「夢の香」は質が良く、いいお酒が作りやすいそうです。純米大吟醸のため、甘味はもちろん、香りにふくらみを感じる特徴を持ったお酒になるそうです。「夢の香」を作っていらっしゃる生産農家の猪狩さんは、「いかにお酒に適した酒米を作るのか試行錯誤をしながら、行政と一体となって農業を進めていく」とおっしゃっていました。
 白井酒造店の今後の目標は「楢葉の風」の生産本数を増やし、より多くの方にお届けすることです。白井社長は「魅力にあふれる日本酒を製造することで、楢葉町での農業振興の力になりたい。」と語ってくださいました。

〇取材者より

 質の高いお酒をつくるには、原料となる酒米が重要であると学びました。お米を作る農家さんの苦悩や、醸造に携わっている方たちの想いが「楢葉の風」に詰まっていると思います。たくさんの方に「楢葉の風」をご賞味いただき、楢葉町に興味を持っていただければと思います。(取材・文:神埼寧)

◆会社情報

住所:福島県大沼郡会津美里町永井野中町1862
TEL:0242-54-3022

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