【三重県】天慶(純米大吟醸)|合資会社早川酒造部

【三重県】天慶(純米大吟醸)|合資会社早川酒造部

2022/1月/26

〇明治6年創業。初代は米穀商

 米穀商を営んでいた初代早川半三郎氏が、明治6年に四日市市天カ須賀で酒造りを始めたのが、早川酒造部様の起源です。現在は4代目の早川圭介様が代表を務められています。
 かつては海の近くに酒蔵を構えていましたが、地下水に塩分が含まれており満足のいく水を採ることができなかったことから、酒造りに適した地下水を求めて朝明川(あさけがわ)の付近に蔵ごと移築し、大正時代から現在に至るまで酒を醸し続けています。

早川酒造部蔵

〇「うまみ」が特徴の天慶(純米大吟醸)

 先代から言い継がれてきている「お酒は作られる地域の食材に合うものを作るのが大事」という考え方を大切にされています。酒蔵の立地としては伊勢湾が近く、食材としては海のものが多いです。また、東海地方は赤味噌やたまり醤油など濃い味付けのものが食材として多い地域。そういう地域ならではの食に合うお酒を作っていくことを基本としています。
 海の幸や濃い味付けに負けないようなお酒を作るため、米の旨味を活かした造り方をしているのも特徴的です。米をしっかり溶かし、その溶かされた糖分を強い酵母が十分に発酵させることで、旨味を持ったお酒に仕上げています。旨味の乗ったお酒のお味は、あっさりさっぱりではなく、”うまい”。アミノ酸や有機酸も含まれ、調味料的な役割もあり、つまみがより美味しく感じられます。
 今回、ご提供する天慶は、米を35%まで削りすっきりした中にもふくよかな香りと味のバランスを取った逸品です。”うまみ”がよく出ていて早川酒造の味が表現されています。入賞歴もあり、多くの方のお口に合うお酒でもあります。お酒のお味がしっかりとしているので、カルパッチョや焼き魚など、あっさりしたお食事に合います。お酒単体でお味が立っているので、食前酒としてもお楽しみいただけます。

〇お酒の”表情”を見ることが酒造りの面白さ

 お酒は嗜好品であり、人によって好みが違います。おいしいという方も自分に合わないという方もいて、どこをターゲットにするかという課題もあります。さらに、お酒は生き物。米にしても水にしても毎年性質が変わるので、お酒の表情は日々変わります。例えば、発酵している時のプツプツした泡一つとっても、微妙な変化があって様々な表情を見せてくれます。それはまるで子育てのよう。どの子供をとっても同じ子がいないのと同じで、お酒も一回一回表情が違います。その変化が酒造りの難しさであり面白さです。

早川酒造部、蒸し工程

〇取材者より

 本取材を通して、早川様のお酒への愛をひしひしと感じました。食材との相性を考えながら、調和させつつ、お酒そのもののお味もしっかりと際立たせる早川様は、「お酒の表情」という表現からも伝わるようにお酒を人のように大事に育てている素敵なお父様のようでした。そんな愛のある早川酒造部様で育てられた天慶、私もいち早く嗜みたい、と取材後すぐに天慶を購入致しました。なるほど、これが”うまみ”か・・・!と染み渡りました。
 今後は地域でもっと愛される酒蔵を目指して、様々なご挑戦を考えられているとのこと。今後の早川酒造部様にも期待でいっぱいです。(取材・文:鈴木悠紀)

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