【福島県】エゴマごぼう|株式会社香精

【福島県】エゴマごぼう|株式会社香精

2021/11月/18

〇下郷町に絶好の耕作地を見つけ、高菜づくりがスタート 

 前職で漬物の原料を仕入れていた社長が、あらたに漬物会社を設立して1年後。 香精は1991年に株式会社化されました。事業のターニングポイントは、東日本大震災が発生する2、3年前のこと。社長は起業する際に、高菜を育てるため、あらゆる場所を訪れては、耕作に適した場所はないかと探していました。
 あるとき、社長は福島県の下郷町に畑があると耳にしました。下郷町は気候の寒暖差が激しいため、絶好の耕作地です。そこで社長は下郷町で高菜づくりをスタートさせると決意します。それから震災後に、小学校の跡地を改築し下郷工場が完成。高菜や白菜の漬物、エゴマごぼうの製造が始まりました。

 

〇老若男女に愛される、エゴマごぼうのこだわり2つ 

 エゴマごぼう作りにおいては、大きく分けて2つのこだわりがあります。1つめはエゴマの加工方法です。エゴマとは、ごまのように小さな実のこと。油分が多く、香ばしいのが特徴です。また福島県下郷町の特産物でもあります。
 エゴマごぼうを製造する際は、素材本来の風味が落ちないように、油を飛ばして香りを引き立たせる「から炒り」の工程が重要です。エゴマを絶妙な炒り具合に完成させるため、炒る時間や感覚を大切にしています。
 2つめのこだわりは、エゴマとかけあわせるゴボウの硬さです。本来であれば、ゴボウはやわらかく加工したほうが食べやすいかもしれません。ところが同社の場合は、ごぼうならではのカリカリとした食感が残るよう加工してあります。理由は、ごぼう独自のクリスピーな食感を楽しんでもらうためです。
 エゴマごぼうは、老若男女問わず人々から愛されている商品です。
 インタビューを受けてくださった児山さんが2歳の甥のもとへ、エゴマごぼうをお土産に持っていったところ「おいしい」と喜んで食べてくれたのだとか。大人だけでなく小さな子どもにも食べやすいよう、甘い味つけがされているのも魅力です。

 

〇今年の目標はグランプリ!ゆくゆくは海外進出を目指す 

 同社が手がけるエゴマごぼうと甘酒は、満天堂のコンペティションにおいて準グランプリを受賞しています。満天堂とは、福島県から依頼を受けて県内のおいしいものを発掘し、広めていく活動をしている団体のことです。
 「今年こそは、最優秀賞であるグランプリを獲得したい」と児山さん。
その思いがたくさんの人に届くよう、児山さんをはじめ同社の皆さまは、真心をこめて漬物づくりにいそしんでいます。
 社内では、商品を開発する過程で社員が集まって、お互いに意見を出しあっているのだそう。より良い商品を世に送りだすための大切な時間です。「ゆくゆくは海外進出できるような、賞味期限の長い商品を作りたいです」。そうお話ししてくださった児山さんの目は、輝いていました。 

〇取材者より 

エゴマの風味を活かすために重要な「から炒り」の工程が大変そうだと思いました。また、あえてゴボウをやわらかくせず硬くする製法にこだわりを感じます。ひとりでも多くの方に記事を読んでいただき、エゴマごぼうの存在を知っていただきたいです。 (取材・文:神埼寧)

◆会社情報

住所:福島県伊達市岡沼69-1

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