【東京都】多摩ポテト|株式会社松姫

【東京都】多摩ポテト|株式会社松姫

2022/1月/24

〇八王子銘菓として有名な「松姫」

 東京都八王子市は、戦国武将武田信玄の息女松姫が一族の滅亡の後に移り住んだ土地です。土地の人々は松姫を慕い援助の手を差し伸べ、松姫自身も八王子の発展に寄与したそうです。その様な所縁の名を冠した和菓子のお店が「松姫」。八王子に名物をということで、初代が1957年にもなか本舗として始められ、その4年後会社を設立されました。以来60余年、看板商品の「松姫もなか」を始め、様々な和菓子や焼き菓子を作られてきました。3代目となった今も、八王子で和菓子と言えば「松姫」と認知され、地元の方を始め多くの方に愛されています。

〇口当たりがよくふわっとした「多摩ポテト」

 「多摩ポテト」は、十数年前に先代が作り始めたお菓子です。ねっとりとしたスイートポテトとは違っていて、ふわっと上品で優しく柔らかい口当たりになっており、その軽さも魅力的です。
 さつまいもは徳島の鳴門金時を使い、バターや生クリームなどの配合にこだわっています。手では成形できないくらい柔らかいので、生クリームを絞る袋に入れて絞り出し、低い温度でじっくりと1時間弱くらいかけて焼き上げているということです。
 お店ではこの「多摩ポテト」だけを買っていかれるお客様もいらっしゃるほどお客様から支持を頂いています。あんこが苦手な人でも多摩ポテトは美味しく食べられるという声も聞かれ、食べやすく人気の品です。お酒を飲んだ際の、締めの一品としてもお勧めです。

〇和や洋のこだわりなく美味しいものを

 松姫では、看板商品の「松姫もなか」やまんじゅう、大福といった数々の生菓子を先代でもあるお父様が、そして「多摩ポテト」を始めとした焼き菓子は今回お話を伺った井上社長が作れられています。
 お客様が「美味しい!」と言ってくださった時がとても嬉しく、作っていて良かったなと思われるそうです。その様な声を大切に代々続いてきた「松姫」の味を守っていきたいとお話されていました。その一方で和や洋といった垣根へのこだわりはなく、組み合わせ次第で美味しいお菓子ができたらいいと考えられているそうです。新しいお菓子や、これまでのお菓子にアレンジを加えたりしながら作っていく楽しみもあるとお話されていました。

松姫外観

〇取材者より

 以前は全く別のお仕事をされていた井上社長。しかし、これまで続いてきた松姫の味を守っていきたいという想いから「自分ができる限りは」と、松姫を継がれたそうです。実直に美味しいお菓子を作っていこうという想いがお話の端々からも自然と溢れていて、それが松姫の数々のお菓子に表されているのだと感じました。(取材・文:井上衣保子)