東京都
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※カット燻製チーズの生産者様インタビューは只今準備中です。
たまの慶(純米大吟醸)|石川酒造株式会社
〇長い歴史と地域とのつながり
石川酒造株式会社はもともと農業を行っており、米作りを本業としていました。酒造りは江戸時代に13代目が副業として開始し、戦後の農地解放をきっかけに、酒造りを本業とすることになりました。16代目は町長や日本酒造組合中央会の会長を務めるなど、地域と酒造りに広く関わってきました。その姿勢は18代目、石川彌八郎さんが代表を務める現在も変わらず、酒蔵の敷地内にあるレストランはいつも地域の方がランチを楽しんでいる様子が見られます。
〇純米大吟醸「たまの慶」
「たまの慶」は17代目の幼名「慶一郎」さんから一文字を受け継ぎ、「慶」と名づけられました。昭和後期から発売されたこのお酒は当時から売れ行きがよかったそうで、現在まで長く愛されているお酒です。今でこそ純米酒は当たり前に造られていますが、アルコールを添加せず造らなくてはならないため、純米酒造りは大きな挑戦でした。伝統を守りながらも新しい商品を開発し続ける姿勢は、今も昔も石川酒造の酒造りに現れています。
〇オリジナルの喜びや体験を提供したい
石川酒造は「酒飲みのテーマパーク」をコンセプトにしています。敷地内には蔵だけでなく、レストランや史料館が並びます。国から登録有形文化財に指定された建物を持つ歴史のある酒蔵です。石川酒造では早い時期から外国人観光客に焦点を当て、酒造を散歩できるプランを構想しました。新たに体験型ゲストハウス「酒坊“SHUBOU”-多満自慢-」もオープンさせ、都会で楽しめるマイクロツーリズムを新たに取り入れました。お酒を楽しんだ後、ゆっくりお部屋でくつろげるような新たなお酒の楽しみ方を提供していきます。
〇取材者より
取材をした時期は緊急事態宣言が発令されており、お酒が提供できない日々が続いていました。ゲストハウスのオープンも、決断のいるチャレンジだったと思います。インタビューに応じてくださった石川社長は「今の時代だからこそできるサービスがある」と強い想いを語ってくださりました。これからも石川酒蔵のチャレンジを応援していきたいです。(取材:畠山真紀子、文:田中絵里)
ページトップに戻るソフトサラミ|株式会社大多摩ハム小林商会
〇戦前から続く本場ドイツの味
大多摩ハム小林商会は、大正時代にドイツ軍技師のアーグスローマイヤさんに、3代目社長である小林さんの祖父が10年間ほど弟子入りし、1932年に独立されて小林ハム商会を設立されました。日本のハム会社の中で、戦前から営業され、ドイツ人直伝レシピでハムを作っている会社は少なく、とても歴史のある会社であるとお伺いしました。
小林さんもドイツに留学し、本場ドイツのハム・ソーセージの技術を学び日本に帰国後、商品に取り入れ現在も様々な商品を作られています。
2000年には、五感で楽しめるドイツ式文化を日本に取り入れたレストランもオープンされています。レストランは、内観はもちろんのこと、建物や空間もドイツ式にこだわって作られているため、日本にいながらドイツに旅行に行ったような気持ちにさせてくれます。
〇安心・安全の美味しさの秘密
商品のこだわりは国産のお肉を使用し、増量目的の添加物は使わず、必要最低限の添加物しか使用していないことで、お子さんにも安心・安全で食べて頂くことができます。
今回ご提供いただいたソフトサラミは、ドイツの伝統的な技法で作られており、普通のサラミとは違い硬くないため、そのままパンにのせて食べたり、おつまみとして食べることができます。少量のソフトサラミでも、お酒が進む味となっています。
マリアージュをする際には、ビール、ワイン、日本酒どのお酒でも合いますが、深い味には深いお酒があうとのことなので是非お酒を片手に楽しんでみてはいかがでしょうか?
〇今後の展開
現在も様々な挑戦をされていますが、今後も技術の芯はぶらすことなく、お客様の声を聞きながらさらに食べやすいもの、お客様が求めているものに対して、敏感にアンテナをはり商品を開発されていくそうです。
大多摩ハムの商品は、全国のハム業界のなかで唯一、東京都指定の特産として承認されていたり、様々な賞を獲得されたりしています。賞の獲得は、毎日精神誠意心を込めて作っておられる日々の賜物であると言えるのではないでしょうか?
今後はハム・ソーセージの魅力を余すことなく伝えるために、相性の良いお酒やビールなどとコラボし、より良いマリアージュを提供していきたいと語ってくださいました。
〇取材した感想
3代目社長の小林さんは事業継承をするため、本場ドイツで修業を考えて大学生の頃からドイツ語を学ばれていたという、目標を明確に持たれている経営者です。事業を継続、発展させるためにお客様の声を直接聞ける場としてレストランを開設され、マーケットインの戦術を講じながら、お客様の憩いの場になる様な工夫もされています。取材後は地元の方で賑わうレストランでとても美味しいランチを頂き、まるでドイツにいるような気分で至福のひとときを過ごさせて頂きました。(取材:畠山真紀子、文:栗山智帆)
ページトップに戻る若炊あさり|株式会社大谷政吉商店
〇創業130年、時代に合わせた佃煮作り
明治生まれの大谷政吉さんの時代から、佃煮を製造販売されてきた大谷政吉商店。創業130年余りの長きに渡り、時代とともに変化するお客様の声を反映しながら、心も体も元気で豊かであることをモットーに様々な佃煮を作り続けています。
今から40年ほど前に東京大師橋近くに工場を移し、隣接している直売所では炊き立ての佃煮を買うことができます。大手百貨店を始め、最近では「DEAN&DELUCA」でも商品が販売されており、様々な世代の方にその味が楽しまれています。
〇優しく上品な味わいの若炊あさり
やわらかくて大粒のあさりそのものの味が引き立つ、優しく上品な味付けの「若炊あさり」。固くて塩辛く見た目が茶色いといった佃煮のイメージを、先々代の社長が一つずつ試行錯誤しながら変えていった末に出来上がりました。日本酒のおつまみとしてはもちろん、パスタやピザの具としてもおススメとのことで、どんなシーンでも楽しめます。
若炊あさりを始め、大谷政吉商店の商品は毎日早朝から釜で炊かれ、味付け、計量、パック詰めのすべてが手作業で丁寧に行われています。自分たちができる範囲で作ったものを、丁寧に誠実にお客様へ出していくのだという想いが代々受け継がれています。
〇日本の伝統食のよさを伝えていきたい
これまでにもお客様からの声に応えたり、様々な食品とのコラボレーションの提案の中で、新たな商品を作り出してきたという大谷政吉商店。製造の全工程を自社工場で行っているため、小回りがききすぐに試作できることが強みです。お話を伺った大谷会長は、今後も新たな商品を開発したり、現在の商品をより楽しんでいただけるレシピを提案していけたら、とお話されていました。「佃煮は究極のインスタント食品だと思います」そう語る大谷会長。「日本の昔ながらの食事には大きな知恵が詰まっており、食べ物を大切にすることが健康で過ごすことにつながる。伝統を守りつつ、時代の変化に対応しつつ安心して食べていただける商品を提供していきたい」とのことでした。
〇取材者より
佃煮=和食の概念を覆し、洋食にも合うよう開発された商品の数々を使ったレシピが大谷政吉商店のサイトには多数掲載されています。「これなら作れそう」と思えるような気軽なレシピが満載です。「健康のためにも今月はこの商品1袋を食べてみようかな」と思っていただけたらと話されていた大谷会長。佃煮がより身近な食べ物になりそうな気がしました。(取材・文:井上衣保子)
ページトップに戻るしじみ汁|株式会社栗原園
〇受賞歴多数・歴史ある栗原園
昭和21年に初代社長栗原健蔵により栗原園が創業されました。
・昭和32年に全国製茶品評会で農林水産大臣賞(現在も毎年続く歴史ある品評会です)
・昭和54年埼玉県茶業技術協会茶技術功労賞
・昭和59年高松宮宣仁親王より緑白綬有功賞
平成9年に株式会社栗原園に社名変更され現在の会社になりました。
会社としてのターニングポイントとしては2つあります。
1つ目は30年ほど前から仏事の返礼品を始めたことと、2つ目はペットボトルの普及によりリーフ茶の出荷量が減少したことが大きなきっかけとなり、しじみの味噌汁や洋菓子、和菓子など様々な商品の展開をスタートしたことです。
〇こだわりのしじみ汁
創業当時から変わらず受け継がれているのは、可能な限り「美味しい素材を求める」こと。創業時から、良い茶葉の生産と良質な茶園の栽培に力を入れることが原点となり、どんな商品を作る時も、最低でも半年以上をかけて企画から製造までの全ての行程に関わりこだわって製造しています。今回ご紹介させていただくしじみ汁のお味噌汁のポイントは、かつお出汁のきいた味噌汁となっており、出汁と最もマッチした関東風のお味噌としじみのエキスがぎゅっと凝縮された一度飲んだらやめられない味となっています。栗原園の人気商品である旅館の味噌汁(具材はワカメ)を参考にしじみのお味噌汁は作られたとのことです。食卓の夜ご飯のお供としてはもちろんのこと、肝機能の働きを助けると言われているため、お酒を飲む際や飲んだ次の日に飲んだり、贈り物としても最高の商品となっています。
〇素材を追い求める姿勢は変えず、さらに商品を展開していきたい
消費者様からの声を励みに、創業時から変わらない「美味しい素材」を求め、今後も自社製造から販売を行っていきます。現在展開している部門の中でも特に食品の幅を広げて展開していくとのことでした。またお茶やお味噌汁、お菓子以外にも独自栽培として、「いちご」や「とうもろこし」の収穫までを行っているのも特徴です。いちご農園に関しては、予約開始後、1日で予約が埋まってしまうほどの大人気となっています。人気の秘訣は40分2000円のリーズナブルなコースと毎年食べられる種類が違うことで、毎年来ても楽しめるコースとなっています。
また農園だけでなく自社で展開している、パウンドケーキとの季節限定のコラボ商品も人気商品なのでこちらも是非味わってみてください。
〇取材者より
取材をしてくださった常務取締役の栗原様は、しじみの味噌汁を企画・販売するまでに、何十種類も違う味の味噌汁を召しあがられたそうです。栗原園様のこだわりが凝縮された味噌汁は、さぞおいしいに違いありません。1人でも多くの方に、お手にとっていただきたいです。(取材:神埼寧、文:栗山智帆)
ページトップに戻る燻製カシューナッツ|有限会社みやび
〇2000年、創業80年以上の木工所からバトンを受けとる
有限会社みやびは、2000年に創業80年以上の歴史がある伊藤木工所からバトンを受けとりました。昔から都内の寺院とお付きあいがある関係で、事業を引き継いでから月日が経った現在でも、卒塔婆の製作と販売をおこなっています。
そのほか、事業の一環として木々の伐採を担当。切った木はカウンターやログテーブルなどに加工しています。
ある時、代表取締役である伊藤氏は大量に伐採した桜の木で、くんせいのチップを作りました。伊藤氏いわく数ある木の中でも特に桜は、くんせいを作るのに適しているのだとか。理由は桜の端材を使っていぶすと、よい香りが立ちこめるだけでなく、食材の甘みが際立つからです。有限会社みやびで製造されるくんせいは、チーズ、ナッツ、柿の種、あわびなど、バラエティー豊富な商品を展開しています。
〇ナッツの風味を引きだす温燻(おんくん)法
ご紹介するくんせいナッツには、温燻(おんくん)法が採用されています。温燻とは、食材に熱をあたえると放出される煙を使ってくんせいすることです。有限会社みやびのくんせいは、すべて温燻によって作られています。
風味豊かなくんせいを製造するうえで大切なのは、温度管理と時間です。ナッツをいぶす時の温度は90度前後。それ以上高い温度にすると、せっかくの味が落ちてしまいます。一方でくんせいにかける時間は、50分程度(カシューナッツならばそれ以下)です。
「現在は窯を使っておよそ300kgのくんせいを手作りしていますが、ゆくゆくは機械を導入するなどしてさらに生産数を増やしたい」と伊藤氏。
昨今はさまざまな理由により、店頭で試食を出すのは難しいにもかかわらず、くんせいの売上げは伸びているとのことです。つまり、くんせいナッツは多くの人がリピーターになるほど高品質で味わい深いといえます。
〇くんせいならでは!ワンランク上の味をご賞味あれ
くんせいナッツはピスタチオ、カシューナッツ、そら豆の3種類。ナッツ類はいぶすと香りがついて味がまろやかになります。そのうえ、ナッツは熱を加えるとやわらかくなるため食べやすくなるのもポイントです。
そのまま口にするのはもちろん、ビールやウイスキーなどと一緒にいただくのもおすすめ。通常よりワンランク上のおつまみをお探しの人は、くんせいナッツをお手にとってみてください。
〇取材者より
筆者はくんせいの作り方をほぼ知らなかったため、たいへん勉強になりました。
「温度」と「いぶす時間」にこだわりのある、くんせいナッツ。筆者は、お話を聞いているだけでお酒が飲みたくなりました。記事を読んだ人にもそう思っていただけたら嬉しいです。(取材・文:神埼寧)
カット燻製チーズ|くんせい屋いぶし庵
準備中です…多摩ポテト|株式会社松姫
〇八王子銘菓として有名な「松姫」
東京都八王子市は、戦国武将武田信玄の息女松姫が一族の滅亡の後に移り住んだ土地です。土地の人々は松姫を慕い援助の手を差し伸べ、松姫自身も八王子の発展に寄与したそうです。その様な所縁の名を冠した和菓子のお店が「松姫」。八王子に名物をということで、初代が1957年にもなか本舗として始められ、その4年後会社を設立されました。以来60余年、看板商品の「松姫もなか」を始め、様々な和菓子や焼き菓子を作られてきました。3代目となった今も、八王子で和菓子と言えば「松姫」と認知され、地元の方を始め多くの方に愛されています。
〇口当たりがよくふわっとした「多摩ポテト」
「多摩ポテト」は、十数年前に先代が作り始めたお菓子です。ねっとりとしたスイートポテトとは違っていて、ふわっと上品で優しく柔らかい口当たりになっており、その軽さも魅力的です。
さつまいもは徳島の鳴門金時を使い、バターや生クリームなどの配合にこだわっています。手では成形できないくらい柔らかいので、生クリームを絞る袋に入れて絞り出し、低い温度でじっくりと1時間弱くらいかけて焼き上げているということです。
お店ではこの「多摩ポテト」だけを買っていかれるお客様もいらっしゃるほどお客様から支持を頂いています。あんこが苦手な人でも多摩ポテトは美味しく食べられるという声も聞かれ、食べやすく人気の品です。お酒を飲んだ際の、締めの一品としてもお勧めです。
〇和や洋のこだわりなく美味しいものを
松姫では、看板商品の「松姫もなか」やまんじゅう、大福といった数々の生菓子を先代でもあるお父様が、そして「多摩ポテト」を始めとした焼き菓子は今回お話を伺った井上社長が作れられています。
お客様が「美味しい!」と言ってくださった時がとても嬉しく、作っていて良かったなと思われるそうです。その様な声を大切に代々続いてきた「松姫」の味を守っていきたいとお話されていました。その一方で和や洋といった垣根へのこだわりはなく、組み合わせ次第で美味しいお菓子ができたらいいと考えられているそうです。新しいお菓子や、これまでのお菓子にアレンジを加えたりしながら作っていく楽しみもあるとお話されていました。
〇取材者より
以前は全く別のお仕事をされていた井上社長。しかし、これまで続いてきた松姫の味を守っていきたいという想いから「自分ができる限りは」と、松姫を継がれたそうです。実直に美味しいお菓子を作っていこうという想いがお話の端々からも自然と溢れていて、それが松姫の数々のお菓子に表されているのだと感じました。(取材・文:井上衣保子)
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